かぷニュース

厳かに厳かに...『成道会』(じょうどうえ)

text:

12月8日は成道会(じょうどうえ)と呼ばれる、お釈迦さまが悟りをお開きになられた日です。4月8日の仏誕会(花まつり)、2月15日の涅槃会(お釈迦さまがご入滅された日)と並ぶ仏教では大変尊い日を、こども達みんなで、厳粛に厳粛に、お祝いしました。

091219_0.jpg

成道会って何??

12月のイベントといえば、クリスマス!!...と誰もが思い浮かべます。でも、日本人には他にも重要な日があります。「23日の天皇誕生日!!」とお思いの方。...それも非常に大切ですが、仏教では一年の中でも大変尊い日として、12月8日に、成道会(じょうどうえ)がございます。

改めていうまでもない話ですが、私達が仏様、お釈迦様、と呼んでいる人は、「神様」ではありません。我々と同じ、実在した「人間」です。現ネパールのルンビニで生まれたシャカ族出身のゴータマ・シッダールタは、出家した後、長い長い苦行を経て、35歳の時、菩提樹(ぼだいじゅ)の下で坐禅(ざぜん)行に入りました。そして12月8日、暁(あかつき)の明星をきっかけに、悟られて、仏陀としてお釈迦様になられたのです。

jodoe01.jpg

ちなみに、「ブッダ(仏陀)」というのは「目覚めたもの」という意味の「覚者」を指します。真理を悟り、目覚めることができれば、実は誰でも、この記事をご覧の方々でも仏陀になれるのです。お釈迦様(ゴータマ・シッダールタ)限定の話ではなく、その道はみんなに開かれているんですね。

成道会で、お釈迦様の御徳を讃えましょう。

悟りを開かれたお釈迦様は救いの道に入り、紀元前5世紀より、2000年以上にわたり私達に救いの光をもたらしてくださいました。お悟りになられた12月8日は、原点となる意味で、大変尊い日なんですね。ということで、成道会は園のみんなで讃えましょう!

jodoe02.jpg
jodoe07.jpg

厳かに、粛々と執り行う真剣な表情の園児達です。

そもそも悟りを開くって何?すごいこと??

悟りを開くとは、いわゆる「この世・あの世」をふくめた一切の苦しみから解放されて、心のやすらぎを得ることができた状態を指します。仏教では、誤解を恐れずにいえば、神々や天人が住む天上界でさえ、苦しみの一つなんですね。どこにいても悟らない限り、やすらぎは得られず、得られない限り、まわりの人々を救いの道に導くことはできない、ということなんですね。

さて、お釈迦様は独力で悟ったか、というとそうではないんですね。一人でどれだけ頑張っていても悟ることは難しいようです。悟るには、人からの愛情と思いやりに気がつく必要があります。お釈迦様はスジャータという女性のおかげで、愛情の大切さに気がつき、悟ることができました。

jodoe03.jpg

ところで、スジャータってどういう人で、何をしたんだろうね?

スジャータの乳粥

スジャータという女性は、苦行中のシッダールタ(お釈迦様)を見て、乳粥(ちちがゆ)を施しました。貧しい階級に属している彼女でしたが、その温かい気持ちのこもった乳粥を食べたシッダールタは、心身ともに健康を取り戻し、苦行の意味を見直しました。その結果、悟ることができたのです。というわけで、かぴらばすオリジナル乳粥を、苦行中(?)のみんなで食べてみましょう。

jodoe04.jpgjodoe05.jpg

もりもり食べるたのもしい子もいる一方、正直苦手...という声が聞こえてきそうな子も。「無理しないで、食べられなくてもいいんだよ。ささいな料理で、みんながおいしくないって感じるようなものでも、お釈迦さまはその時、「おいしい」と思われました。それまで本当に苦しい修行をしてきたところに、やさしいスジャータが心をこめてつくってくれたものだから、一層おいしく感じられたんでしょうね。そのおかげで悟ることができました。みんなもお家でご飯をいただいたら、きちんと「ごちそうさま」と、つくってくれた人に感謝して言おうね。(園長)」

生活哲学としての仏教

ちなみに、お釈迦様のお食事が基本的に貧しいものだったかというと、そうでもありません。修行中に食べたものの献立の中には、お肉やお魚も入っております(現在インドで牛を神聖視して食べないのは、主に大多数のヒンドゥー教徒です。)。生き物が共生しているこの世の中では、動植物を食べあうことは、ごくごく自然で、有機的なことである、というのが仏教の考え方なんですね。ですので、禁欲を貫き通しても、不自然を実践するだけで、その結果心身ともに充実できなければ、きちんと修行をすることができない、ということなのです。...ただし肝心なのは、肉食などはあくまで「少量」が原則です。度がすぎてはなりません。節度が大切なのです。「適度な○○」というのは現代でもよく聞かれるキーフレーズですね。「あたりまえのこと」だけど難しい...わかっちゃいるけどやめられない...。このあたり、今日でも通じる話ですね。

私たちは成道会を通じて、仏教が示唆することの多くが現代にも通じることに、改めて気がつくことができました。かぴらばす保育園では、こうした仏教行事を通して、仏教の中から生活哲学として成立しているものをとりあげ、こども達の保育に役立てております。

jodoe06.jpg

こども達が大人になったら、もう一度、この日味わった乳粥を食べる機会を設けたいと、スタッフ一同思っています。